留学準備 - エコール(高等教育機関)

このページではエコール、特に現在僕の通っている(あるいは行ったことのある)エコールについて説明します。

[フランスの高等教育システム]

フランスの高等教育(高校以降)は主に大学とエコールという二種類の教育機関があります。高校卒業試験である

バカロレア(通称BAC)に受かったあと、BAC資格者であればどの大学にも入学することができます。

ここが日本と大きく違うところで、大学の入学はBACさえ受かればOKです。なので一年目は多くの学生が在籍するといいます。

ただその後が大変で、学年を上がるための試験は難しく、学年が上がるごとに学生数が減っていくのが普通であるようです。

一方でエコールには誰でも入れません。BACの後に大抵2年間のエコール準備学校(通称Prépa)での勉強を終えたのち、

成績のいい人がエコールに入れます。(成績のいい人ほど自分の希望のエコールに入れるようです)

理系であればポリテクニーク、ポンゼショセ、ミン辺りが有名であり、最も入学するのが難しくなっています。

特にX Mineというポリテクニーク(通称 X)で3年学び、最後の学年でミンで勉強した人はフランス理系の中でも最も優秀なグループで、

ひと学年に10人しかいません。そしてこれら有名なエコール(グランゼコール)出身の人は最終的に官僚になったり

企業のトップになったりします。なのでグランゼコールに入ること=将来の職が保証される(もちろん100%ではないですが)

ので、多くの学生がグランゼコールに入学することを望み、そのために高校、エコール準備学校で猛勉強します。

以上のようにフランスは基本的に学歴社会であり、またコネの社会であるとも言われています。

[Ecole Nationale des Ponts et Chaussées (ポンゼショセ)]

現在僕の通っているエコールについて説明します。

正式名称は "Ecole Nationale des Ponts et Chaussées" または "Ecole des Ponts ParisTech" で、通称は "Ponts" または

"Ponts et Chaussées" です。日本語でいうならば、"ポン"または"ポンゼショセ"、あるいは訳して"国立土木学校"と言います。

歴史や詳しいことについては以下Wikipediaより引用しています。

[歴史]

1747年に最古のグランゼコールとして、ルイ15世の勅令によって、国家建設に不可欠な土木・建築領域におけるテクノクラート養成

を目的として創立された。

[教育]

歴史的には、土木建築、交通、環境、都市計画、工業、産業工学、ロジスティックスの領域に強みをもち、

近年では90年代にビジネススクールを設立したのに加え、2000年に入ってから商科系のグランゼコールである

ESSEC(エセック)と業務提携するなど、経営学や経済学にも得意領域を拡大し、即戦力のビジネスエリート育成に力を注いでいる。

国立土木学校は、歴史的に産業界における即戦力の経営リーダーを育成してきた経緯も踏まえ、

特定領域に対するスペシャリストの育成よりも汎用的なエンジニアやビジネスマンを育成することをモットーとしてきた。

提供する教育プログラムは大きく以下の3つに分類される 工学プログラム5年間に渡る大学院レベルの教育プログラムであり、

入学はフランス国民において非常に高い競争率を経て、準備期間授業の終わりに決定される。

博士号プログラム工学プログラムの修了者に向けたPh.D育成の教育プログラムプロフェッショナルプログラムMBAを

はじめとした大学やグランゼコール卒業生に向けた特別プログラム。上海交通大学、英国国立エジンバラ大学をはじめ提携校と連携しつつ、

モロッコ、インド、アルゼンチンなど複数国にフランチャイズMBAを展開する。

また、国立土木大学は、エコール・ポリテクニークの継続進学校であり、Corps des Ponts et Chaussées という特設コースも用意している。

[学部]

各工学プログラム・Ph.Dプログラムは、以下の6つの学部から提供されている:

・土木工学・建築学部

・交通・都市計画・環境学部

・機械工学・物質科学学部

・応用数学・コンピュータサイエンス学部

・経済・ファイナンス学部

・産業工学・経営学部

またMBAプログラムは、ENPC School of international Managementから提供されている。

以前はMBA東京校を設置していたが、名古屋大学との提携のため移転。 現在は、世界戦略の一環で、

アジア地区においては上海の大学と提携している模様。

また、Temple University(The Fox School of Business)とも現在、パートナーシップを組んでいるとのこと。

以降は実質的な話について書いていきます。(自分の体験談を元にしています)

[学期]

ポンゼショセは2学期制で、日本の大学の用語でいうならば、冬学期が10月初旬から2月中旬まで、夏学期が2月下旬から6月下旬まで

あります。冬学期と夏学期の間には1週間の休みが、夏学期と冬学期との間には約3ヶ月の休みがあります。

ただ、冬学期の前の9月には、中旬から下旬にかけて約3週間の準備講座期間(基本的に義務)があり、結局夏休みは2ヶ月ほどしかありません。

基本的に祝祭日の少ないフランスですが、学期中には休みがいくつかあります。

10月中旬に1週間の休み、11月の中旬に1週間の休み(他提携大学に一週間だけ行って単位取得できるコースあり)、12月下旬に2週間の

クリスマス休み、4月に1週間の休みがあります。

これら1~2週間の休み中は基本的に自由なので、旅行に行くことができます。また、日本に一時帰国することも可能です。

[授業]

1学期目(S3)の時間割は以下の通りです。ちなみに僕は"交通・都市計画・環境学部 "に在籍しています。

S3 8:30~10:00 10:15~11:45

12:45~14:15

14:30~16:00

16:15~17:45

18:00~19:30

20:30~22:30

月 交通工学 交通工学

フランス語

環境経済学

環境経済学

火 流体力学 流体力学

スペイン語 統計学 室内ホッケー

水 エネルギー学 エネルギー学 水文学 水文学

木 水政策学 水政策学 スペイン語

金 異文化社会学

異文化社会学 法学基礎

法学基礎

2学期目(S4)の時間割は以下の通りです。

S4 8:30~10:00 10:15~11:45 12:45~14:15 14:30~16:00

16:15~17:45 18:00~19:30

月 大気汚染 大気汚染

火 地方政治経済

地方政治経済 フランス語

水 環境,水,気象 環境,水,気象 環境,水,気象 環境,水,気象 廃棄物処理

水資源管理

木 リスクと災害 リスクと災害 フランス語

金 セミナー セミナー

科学と芸術 科学と芸術

基本的に授業は2コマ連続(もちろん途中で休憩が入りますが)の3時間授業です。ただ、語学などは1時間半1コマになっています。

1:30の授業1コマ×13回=2単位がもらえます。なので3時間の授業であれば基本的に1学期で4単位きます。

大抵の授業では出席は取りませんが、先生によっては出席を毎回取りかつ遅刻も厳禁だったりします。

ポンゼショセの教室はほとんどが入り口が前側にあるので(わざとかどうかは知りませんが)、遅刻した場合とても入りづらいです。

[単位]

ポンゼショセのダブルディグリー枠での留学では、

・科学技術系の単位 98

・言語の単位 18 + TOEIC 750点以上

・スポーツの単位 2

が卒業条件になります。基本的に1:30の授業×13回で2単位取得できます。

また、フランスでは成績が20点満点で表され、10点(50%)以上で単位を取得できます。

[スポーツ]

2011年度入学生から、スポーツの授業が義務化されました。入学してすぐの学期S3で一コマ取らなければいけません。

サッカーやハンドボール、バレーボール、テニス、卓球など、様々なものから選べますが、人気のスポーツはすぐに定員

に達して取れなくなります。(インターネット上で選択します。)

例えばテニスやバレーボールはインターネットで選択できるようになった日の夜にはもう定員に達していました!!

また、フランスでスポーツを行うためには健康診断証が必要です。スポーツの授業に出席する前に医者に行き、

スポーツ用の健康診断証を書いてもらいましょう。このときなるべく多くのスポーツの名前を書いてもらった方がいいです。

何個のスポーツの名前を書いても値段は同じで、実践するスポーツの名前が書いていないと有効にならないので、後で変更する

場合などを考慮して、フランスでやる可能性のあるスポーツは全て書いておいた方が無難です。

[食堂/カフェテリア]

ポンゼショセには食堂とカフェテリアが一ずつあります。これらは平日しか開いてなく、土日は閉まっています。営業時間は

食堂: 11:30~14:00

カフェテリア: 8:00~18:00

です。なので僕は昼ご飯は基本的に食堂で食べ、夕飯は寮で自炊しています。

ポンゼショセの学生であれば、食堂・カフェテリア用のプリペイドカードを使えます。

このカードは入学手続き後(食堂の利用について色々と説明があると思いますが)、食堂のレジで自分の名前を言えば受け取れます。

このプリペイドカードへの入金はレジで直接お金を渡して行うこともできますし、あるいは食堂横の器械でクレジットカードを

使って入金することも可能です。

このプリペイドカードを使うと、一日一回フランス政府の食費の補助金(2012年1月現在 2€24 )を使うことができます。

食堂あるいはカフェテリアで補助金以上の金額(例えば2€のものを買っても適用外)の食べ物(飲み物のみの場合も適用外)

を買うと、自動的に補助金分が引かれます。

[場所]

ポンゼショセはパリ郊外のChamps-sur-Marneというところにあります。

最寄り駅はRER(郊外線)Aの "Noisy Champs" です。

パリ中心部からRER A線のデゥズニーランド方面に乗って30分くらいのところです。

下に地図を載せておきます。

[Ecole Nationale des Travaux Publics de l'Etat (ENTPE)]

ここのエコールへは2009年の夏休み(8~9月)に海外夏期実習という形で地盤系の研究に行きました。

このエコールも名前の通り (Travaux Publics = 公共事業) 土木に関する学校です。

学科としては、Génie Civil - Bâtiment (地盤・構造系)、Transports (交通系)、Ville - Environnement (都市・環境系)

などがあります。

場所はリヨンの郊外で、市内中心部からメトロ(赤いA線)とバスを乗り継いで30分位のところにあります。

Shohei's Travels

旅行に行くのと飛行機に乗るのが大好きなしょうへいのホームページです。旅・飛行機・海外生活・語学・仕事などに関する情報を載せていく予定です!

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